
人物
神学部神学科に通う彼女は現在3年生。2年間の短大生活を経て、上智大学編入後SophiaRacingへ参加。
総務/会計を主な役割とし、チームを支えるマネージャー的存在。
神学部に入った理由

本当は高校を卒業してすぐに留学をしようと思っていた。
留学に必要な英語を日本で勉強してからと思ったが、とにかく早く海外で学びたいと思い、上智短大への入学を志願した。
入学後はゼミで法学を学んでいたが、たくさんの学問に出会う中で、人間学や宗教学などもっと幅広い分野についても勉強したいという気持ちが芽生えてきた。そんな中で上智大学の神学部を次の進学先に選んだのは、神学のほかにも生命倫理や宗教間対話、平和学なども学べると知ったからだと言う。
なぜ留学したいと思ったのか

きっかけは高校時代で経験したボランティア活動で、医療の現場で活躍する「チャイルドライフスペシャリスト」の存在を知ったことだったと言う。チャイルドライフスペシャリストとは、闘病や慣れない病院生活におけるこどもの精神的負担をできるかぎり軽減し、こどもの成長・発達を支援する専門職である。医療スタッフの一員ではあるが、医療行為には一切関わらないため、こどもにとっては「いやなこと、痛いことをしない安心できる存在」であり、医療者とこどもや家族との架け橋的役割を果たす。
このチャイルドライフスペシャリストになるには、主にアメリカやカナダで学ぶ必要がある。日本では認知度が低く、国家資格として認められていないからだ。
「もうこれは海外に行くしかない。」そのときにすぐに留学を決心した。
SRに入ったきっかけ

上智に入る前からものづくりに興味があったが、ずっと文系できたために、直接的にものづくりに関わることができないという思いがある中で、そういった経験をしたいとは常に思っていたという。そんな矢先、上智大学の入学式で配布された冊子でSophia Racing(以下SR)のサークル紹介ページの「フォーミュラカー製作」という文字に目が留まった。
「何これ!きたーー!学生がクルマを創るなんて!」とまるで昨日のことであったかのように当時を振り返る。クルマにも興味があり、ものづくりに携わりたいという欲求にSRは完璧に応えてくれると直感した。まさにジャストフィットだったのである。SRからの勧誘を待たずして、自らリーダーに入部の希望を伝えに行ったという。
「折り紙」から始めるものづくりへの興味
高校生の交換留学でオーストラリアに行ったとき、仲間に折り紙を折ってあげる機会があった。「マキって器用だね。」と現地の人から言われ、そのときはっと気がついたという。別に自分が器用なんかじゃない。「他の国に比べ、日本人は手を使って作業するのが上手いんだ。伝統工芸や織物など日本だからできる器用さが今の日本を支えているんだ。」と。 たった一枚の折り紙に「ものづくり日本」の縮図が描かれていたのだ。
自分の役割

何よりも、製作班が良い車両を作りやすいような環境やドライバーが運転しやすい環境を作ってあげることが自分の仕事だという。
だが、実際は会計や総務、渉外といった仕事が大半で、具体的にはチームの財政を管理したり、大会での宿泊先や食事の手配、パートナーとなる企業の調査と訪問といった至極当たり前だが、チームにはなくてはならない活動だ。
もちろん、製作の第一線で活躍したい気持ちはあるが、知識や時間的な制約で難しいと感じているようだ。「マスキングや耐熱板の貼り付けの作業ならできますが、CADでばりばり設計できたらカッコイイなって思います。」と照れながら話してくれた。
一方で、向上心のある彼女は、少しでも技術が理解できるよう、現在もサポート講座や勉強会に積極的に参加している。
突っ走ってきた1年間
一年間を振り返るならという質問に、彼女は「何も分からないまま、とにかくチームのためを想って突っ走ってきた1年でした。」と語る。「楽しい・面白い・忙しい」が入り混じった一年だったが、今思えばこんなに充実した1年間は今までになかったという。さまざまなパートが協力し、ひとつの車を作り上げ、動き出す。「このときの感動と体験が得られるのはSRでしかない。」と改めて感じた。
今までの先輩たちが培ってきた技術や経験と、周りで支えてくれたパートナーや先生、
そして何よりもチームメンバー一人ひとりの努力が今回の優勝につながったのである。
裏方の裏方

昨年度のフォーミュラ大会で見事優勝したSRだが、実は影で支えていた彼女の貢献は大きかった。食事の手配では、料金の交渉もさることながら、男性が多いチーム柄、なんと弁当の中身まで業者と交渉していたいう。また、メンバーが優勝ムードで盛り上がっている最中、祝賀会のセッティングに走り回ったりしたことも今となっては懐かしい思い出だ。
大会となれば、やはりスポットライトは製作班やドライバーに当たる。製作班も裏方だが、彼女はさらにその裏方なのだ。裏方は実際に言葉で感謝されることは少ないが、「自分のしていることがチームのためであるなら」という彼女の言葉の重みが伝わってくる。
大学で何をしてきたか問われたら
3年生からSRに参加した彼女だが、1年も経たぬうちに、今はもっぱら就活に忙しい毎日を送っている。
就活面接で必ずや問われる質問がある。
それは「大学であなたは何をしてきましたか?」という質問だ。多くの大学生がそこで「サークルをやってきました」という答えをするが、それはもはや定番中の定番。杓子定規な受け答えでは自己アピールに欠けてしまう。むしろ話し手にはその内容の具体性が問われる訳だが、彼女の場合はSRという強力な切り札がある。自動車やメーカー就職を希望する彼女にとって、SRでの経験は事例を出す上で非常に役立っているという。
また、技術者と経営者側で起こる数々の折衝についても、SRで経験済みの彼女には、就活面接時の話しの”ネタ”として一つの引き出しが増えた形だ。実際に話すと、面接官の食いつきも違うという。
フォーミュラSAEの知名度
就活を行って改めて思い知らされるのは、フォーミュラSAEの企業における知名度の低さだと言う。自動車やその関連企業となれば、フォーミュラSAE大会のスポンサーとなっている背景からも、多少認知されているが、その類から少し外れるだけで、その知名度は急激に落ち込むのだ。もちろん、その時は一から説明するが、自分のためと言うよりフォーミュラSAEの知名度UPのためにアピールは欠かせないという。
卒業後の彼女

就職して配属を自由に選べるならという問いに彼女は「今と同じポスト」と語る。企業がよりよい方向に向かっていくよう、利己ではなく常に利他の精神で業務に携わっていきたいそうだ。SRがというのではなく、大学生活が今の彼女を変えたというのなら、それは非常にすばらしいことだ。
大学卒業後もSRやフォーミュラSAEを見守っていき、OGとして関わっていきたいという。欲を言えば、就職先が多角的な企画を社員が自由に提案できる環境にあるなら、「学生支援」を大きな軸に積極的に提案をしていくとのこと。4年生で卒業してしまうのはSRとしては大きな痛手である。手放すにはもったいない人材だ。
(柴崎)
※2/24 記事の一部内容を変更しました。
※チャイルドライフスペシャリストの解説においての引用元:がんの子どものターミナルケア・トータルケア研究会